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岩手県医療局労働組合
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職員の善意と犠牲でささえた救急医療(違法宿直をやめ、勤務制へ)

◆1973年

当直明け午後からの職専免実現

◆1981年

事務・看護部門で日曜勤務者の振り替え休日実現

◆1983年

薬剤部門で振り替え休日実現
第2次救急医療実施。呼び出しに伴う翌日の休養を制度化

◆1994年

全ての病棟で宿直制から三交替制に改善
久慈・北上(現、中部)など5病院の外来宿直について、朝からの休養を実現

◆1997年

久慈、大船渡、宮古病院の外来に1夜2勤務・2人制

◆1999年

胆沢、磐井病院の外来に宿直+1夜2勤務制

◆2000年

違法な宿直実態を監督署に告発。久慈、釜石、千厩など5病院に立ち入り調査が入り、指導を受ける

◆2001年

胆沢病院の外来に1夜2勤務・2人制。福岡病院(現、二戸病院)でも11月から宿直+1夜2勤務制を実施。宿直を午後9時半からにする措置案を15病院で実施

救急医療は、県立病院が県民から充実を期待されている大事な機能の1つです。私たちの善意の犠牲で対応するのではなく、正規の勤務時間での対応が求められます。

 

<宿日直>
労働基準法では、1日の労働時間が8時間と制限されています。ところが、宿直及び日直業務については、「監視または断続的労働」として、労働基準監督署の許可を得ることによって適用除外されています。労働時間ではないので、その業務は定時巡回、検温などに限られ、通常の業務は超過勤務時間として処理することになります。また、通常業務がほとんどという宿・日直は、その許可が取り消されます。


 県医労は、救急医療の充実と、職員の労働条件の向上をめざし、長年取り組んできました。1973年には、外来等の宿直明けの午後からの職専免(休み)を実現。それまでは、1日働いて、宿直に入り、翌日も1日働いていました。

労働時間調査用紙と各監督署からの是正勧告書等

 

 1983年からは第二次救急医療輪番制が実施されました
。呼び出しで対応する部門については、呼び出された場合 の休養について労働協約で制度化させました。1994年からは大幅な定数増によって完全週休二日制を実現すると共に、久慈、北上など5病院の外来宿直について、翌日朝からの休養を実現しました。また同年から病院の新築と合わせて救急医療体制が整備され、久慈、大船渡病院に救急救命センターが併設されました。救急医療を宿直体制で行うのは問題だ、と交渉を重ね、久慈、大船渡、宮古病院の外来部門に、一夜二勤務(準夜、深夜をとおしで勤務する)制で2人で対応することで労使合意し、 実施させました。

 中央病院の夜間救急外来については、94年に2人体制での三交替を実施。手術部門では、待機制を取っていましたが、毎日呼ばれるのが当然の状態で、 改善に向けて分会会議を開催。お風呂に入るにも、脱衣所にポケットベルを置き、冬は道路事情を考えると病院に泊まらざるを得ない実態を出し合いました。三交替を基本要求とし、当面、外来と同様の一夜二勤務を要求することを確認し、97年から4人を増員させ、翌年から平日の夜間勤務者(一夜二勤務)2人、 待機者1人の体制を実現させました。
 外来宿直の改善が進んだのは、1999年に胆沢、磐井病院への一夜二勤務の導入からでした。違法な宿直制の改善を求め、三交替制を要求して来ましたが、当面策として一夜二勤務と宿直の併用制を当局が提案。人員増と当面策であること等を確認し、導入を決定。また、翌年には宿直中の大半で通常業務が行われているという違法宿直の実態を各労働基準監督署に告発。5病院に立ち入り調査が入り、是正勧告をさせました。これによって、宿直制の改善に向け、交渉を詰め、夜9時半まで通常勤務を延長し、その後に宿直に入るという「措置案」を実施することで合意。放射線や検査部門でも改善が進みつつあります。